2012年4月30日月曜日

英雄が英雄たりえた時代のお話

DER ROTE BARON(The Red Baron),ドイツ,2008

昨春日本公開だったのに
劇場で観なきゃと思ってたはずなのに
ようやく思い出して鑑賞

ヒトコトで言えば、「欧州版・燃えよ剣」。

旧式の制度とルールを背負って
未成熟な新型技術引っさげて戦いの幕引きをした若き英雄
その最後の日々が描かれている

まぁ、燃えよ剣は司馬遼太郎によって世に出たようなものだけど
よく似たフレームがリヒトホーフェンと土方歳三には与えられてる

それほど時を移さずして始まる
第二次大戦には、こうした英雄はいない

いるとしたらそれは誰かが書いた筋書きの中で管理された英雄だ

19世紀末~20世紀初頭のこのわずかな時期の
空という新たな戦場が生まれたこの頃は
人間のネットワークとかキャラクターといった力が
テクノロジーによる管理を超えていた最後の空間なのだろう

空からも騎士道が失われてざっと100年。

技術だけは粋を高めてきた人間の、
技術によらない力が試される世界に突入しつつあるのは
驚くことでも悲しむことでもなんでもないのかもしれない。


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以下は純粋な感想。
歴史ものなのでネタばれとかはそもそもない。

ストーリー自体は1916年
すでにベルケという元祖・空の英雄が撃墜されたあたりから始まる

ArmyもNavyもすでに失っていた牧歌的な雰囲気をもつ
Air Forceの描写はかなりうまい

また連合軍側のパイロットが各国寄せ集め的なもので構成されてて
戦況は気になるけどそれ以外にはドライだったりする実情が
それとなく描かれてるのもよい。

フランス軍とかアメリカの参戦については逆にほとんど語られない。

複葉機は非常に忠実に再現されている
空中戦の描写がここまでできるなら紅の豚の実写版いけると思った。

そんな感じ。

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